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職人の声

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vol.2 多能工 伊良原透公

バーテンダー、鍵屋、多能工。

職人になる前はバーテンダーと鍵屋をしていました。口下手だったのですが、今までとは違ったことをやろうとバーテンダーを始めました。そこでは先読みをする力が身につきましたね。グラスが空きそうなら注文前に飲み物を作っておくとか、カップルの会話がつまっているときに助け舟を出すとか、寂しそうにしているお客様を見抜くとか。次第に夜の仕事が体力的に厳しくなってきたので、次は手に職をつけようと鍵屋になりました。鍵屋は細かい作業が非常に多く、集中力が身に付きました。ところが技術を学んで職に就いた途端、脱サラブームで競合が増えて、価格破壊に巻き込まれる結果に。そんな時に不動産関係の知人から職人の話を聞いてこの世界に入り、壁紙をメインに扱う多能工になりました。職人の仕事を始めて気付いたのは今までの仕事の経験が役に立つということです。お客様が求めていることを先読みして作業に反映させることや、細かいところまで気にしながら現場で動くことは職人としての大切な力の一つです。

見えないところを直す。

多能工の仕事をしていると様々な仕事をします。壁のクロス張りや修繕、床下のベニヤの改修、塗装、水回り、網戸や水栓の交換、立て付けなどをこなす何でも屋です。一番大変だったのは、壁の裏に収納する引き戸の修理です。壁を壊さないと無理だと大工さんが投げ出した時に、私が意地で直してしまいました。鍵屋として働いていた頃、鍵の向こう側にある見えないものを扱っていた経験が、職人としての幅広さにもつながっています。

おにぎりのうれしさ。

現場に入る時は近所の方のことも気にかけています。車を停めさせてもらうにしても必ず近くにいる方に声をかけています。ある時、花壇に水やりをしているお婆さんに声をかけたところ、たまたまその方が、リフォームしていたマンションのオーナーさんだったこともあります。また、どうしても遅くまでかかってしまう際には、顔を合わせた方全員にご挨拶をしています。一声かけるだけでいい関係は築けるもの。作業が終わる頃に隣の家の方からおにぎりを頂いたときはうれしかったですね。そうした気遣いから生まれる人とのつながりも、この仕事をしている中でのやりがいの一つです。少しの気配りで周りの方がみんな気持よくなれば、それが一番です。

渇いた「砂漠の砂」でありたい。

今の仕事がつまらないから自分には合っていないと悩む人がいますが、そこで辞めてしまったらもったいないと思います。私も今まで、職人として仕事に悩むこともありましたが、精一杯の力を仕事にぶつけてから判断しました。毎日自分のベストを尽くして仕事をしたのか。常に自分に問いかけました。
全力を出して仕事をすれば出来ることがどんどん増えていきます。それは非常に楽しいこと。職人として成長するにはがむしゃらな部分も必要でした。これからもハウスクリニックで働く上で、自分を「砂漠の砂」だと思ってどんどん吸収していきたいです。

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